適切な樹脂の要件

製造工程の必要条件:

  • 熱要件
  • 外観
  • 耐薬品性
  • 機械的特性
  • フロー要件

適度な充填圧力の要件

デザインの成形性の向上

過度の充填圧力は射出成形に影響を与えます。その例には次のようなものがあります。

  • 高い型締めが必要
  • 高負荷による金型部品の寿命の低下
  • 高射出力要件
  • 充填圧力を低減するために成形機を過剰な溶融温度に設定しなければならないケースが増える
イーストマンでは、提案された成形品デザインに必要な充填圧力を推測するために充填シミュレーションを行っています。成形品デザインのための最大充填圧力の目標値は15,000 psi、シミュレーションモデルにランナーとゲートが含まれている場合には20,000 psiとなります。

 
イーストマンTritan™コポリエステル MFR (g/10分、280°C、1.25 kgの負荷)
TX1001 7
 TX2001 8
 TX1501 18

適切な充填パターン

イーストマンでは、充填パターンの問題を事前に把握するため、提案された成形品デザインとゲート位置に基づき、充填パターンを予測する成形充填シミュレーションを行っています。

  • ウェルドライン
  • エアトラップ
  • フロー先端のヘジテーション
このような問題を金型製造後に解決するには費用のかかる変更が必要です。

過度な収縮部分をなくす

射出成形工程での過度の体積収縮は成形品の外観上の欠陥をもたらします:

  • 成形品表面のヒケ
  • 真空ボイド(泡として現れます)
イーストマンでは、成形品の体積収縮率最大6%というガイドラインのもと、体積収縮率を予測するための成形充填シミュレーションを行っています。

ゲート位置の検討

外観
成形部品のゲート位置はランナーシステムから切り離された位置を示す「証拠」として残り、外観上の欠陥ともみなされます。このため、一般的には隠れるような位置に設定されます。

機械的特性

  • 樹脂は高圧、高温の状態でゲートを通り成形キャビティに入ります。
  • ゲート部分の成形品の表面は、引張荷重や落下試験時に応力が集中し、欠陥につながる場合があります。
  • キャビティ内で成形された部分と比べてゲート部分は機械特性が劣ります。
  • ゲートの位置は外部からの高い引張荷重がかからない部分に設定しなくてはなりません。

切り欠きを減らす

衝撃による破壊は、鋭い切り欠きによる応力集中により生じることが多くあります。落下試験の成績は成形品の鋭角部分の半径をわずかに大きくすることで著しく向上することがあります。

よくあるご質問について

イーストマンTritan™コポリエステルでは、どの程度の収縮率を見込む必要がありますか?
ASTM D955規格に従った典型的な値は0.005~0.007 in. / in. (0.005~0.007 mm / mm)です。

フタにリビングヒンジのついた箱を設計しています。リビングヒンジは製品寿命まで繰り返し使われます。Tritanはリビングヒンジに向いていますか?
いいえ。Tritanはリビングヒンジの用途にはおすすめできません。

複数のリブのある部品を設計しています。反対側にヒケが生じないようにするためには、リブ基部の厚みはどの程度が適切ですか?
一般的なガイドラインでは、リブの肉厚を成形品の肉厚のおよそ40~60%とします。部品の肉厚が0.100 in. (2.5 mm)の場合、リブ基部の肉厚を0.040~0.060 in. (1.0~1.5 mm)とするのが妥当です。

Tritanではどのくらいまで薄肉に成形できますか?
Tritanを使った成形での最小肉厚は、最終的な用途での要求性能などによって変わってきます。まず、成形品は適度な充填圧力に耐える厚さでなくてはなりません。次に、成形品は実際に使用時に必要な要求性能を満たしていなくてはなりません。イーストマンのデザインサービスエンジニアは、御社の設計を多面的に評価し合理的な部品の厚さを提案するための経験とツールを持っています。

Tritanを使って成形する場合、抜き勾配の最小角度はどの程度とすればいいでしょうか?
面ごとに 1.0 〜 1.5 度が妥当な角度です。0.5度以下で成形されたことがありますが、固着、カジリ、成形時間がかかるなどの問題が生じる可能性が高いためおすすめできません。

難燃性クラス V0 の認定を受ける必要のある透明な電気ハウジングを設計しています。Tritanで製作可能でしょうか?
いいえ。TritanはUL規格難燃性グレードV0の要件を満たしていません。

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